「金木犀の香りがしてきたよ！」
とメールをやりとりするキンモクセイ通信。
親友と私が、ある時から、なんとなく、どちらからかも記憶がないが、始めたこと。
この時期、キンモクセイが香ってきたことに気づくと、
「キンモクセイ通信」として、相手にメールをしています。
ルールもないが、自然と始まった毎年の恒例便りです。
その親友をA子と呼ぼう。
A子とは、幼稚園から高校まで同じ学校でした。
特に高校では汗水流した部活仲間で、ほぼ毎日一緒で、一段と仲が深まりました。
今では、出身県を挟んで西と東に住んでいます。
この時期、どこからか香ってくるキンモクセイの香り…ふいに気づく香り。
トイレの臭いで苦手っていう人もいます。
でも、私はこの香りがしてくると、哀愁漂う秋の様々なストーリーが頭をめぐります。、
この時期は、地元では大きな秋祭りがあります。
その記憶とつながり、学生時代までの思い出がよみがえります。
Ａ子は友達も多くて、とにかくおもしろい。
笑いのセンスが絶妙。
運動神経もいいしカラオケも上手。
モノマネや替え歌までしちゃうからかなわない。
アート的なセンスもよくて、こんなところに野口さん（ちびまる子ちゃんでひっひっひって笑うキャラクター）を描いてたり、またその絵が上手だったり。
とにかくセンスがいいんです。
でもけっこういい加減なとこも多くて、大事なことろで寝坊もするし、
それがまた人間味があって魅力的なところです。
そんな彼女とはなんとなく価値観が近かったりで、一緒にいると安心する存在です。
高校三年間、部活と受験とずっと苦悩を一緒にしてきて、当時は、家族より過ごす時間が長かった気がします。
私にはないものを持っていて、ほんと、うらやましいと思っていました。
学生時代は、うらやましくて冷たい態度をとってしまった時期も正直ありました。
でも、うらやましいと思うくらいの存在だから、いまでも尊敬するんだろうな。
A子が県外へ進学した後も、追いかけて遊びにいったり、ず～っと交流が続いています。
そんな私には魅力的なA子、彼女のお父さんは高校入学直前に病気で亡くなりました。
でもA子はそんなそぶりや愚痴を全く言いません。
高校卒業後、A子となんとなく将来の話をしていたとき、
「結婚相手の収入だけに頼らず、自分でも稼げるようになっておきたい。手に職はつけておきたい。」って言っていたことが今でも記憶に残っています。
お母さんの苦労を見てきているんだろうな。
「いつなにがあるかわからないから、一人でも生きている術を身につけておかないと。」
まだ学生気分が抜けていない私には、すごく大人に見えました。
彼女が語らない苦労や記憶がその言葉につながるのか。
とても印象的だったことを今でも強く覚えています。
手に職をつける。一人で生きる術を身につけておく。
よくいろんな人から耳にするコトバだけど、身近な彼女からのコトバにすごく身に染みました。
お父さんが亡くなるまでも家族で支えてきただろうに、
そんな大変なそぶりを見せないから本当に驚きます。
一人で子供を育ててきた母親の姿をずっとみてきたんだろうな。支えてきたんだろうな。
学生時代から、親にわがままばかり言っていた私。ふと我に返ります。
愚痴ばかりではいけないっても何も変わらない。自分に言い聞かせもっと先を見なきゃ。
そんな私たちも今は、生まれ育った場所を離れ、さらに、親という立場になりました。
そしてA子はいま、自分で家でもできるような仕事をしようと頑張っているようです。
結婚し、子供がいるなか、仕事しながら資格をとったり勉強したり。
連絡はほとんどとらないけど、なんとなく、彼女の姿が想像できます。
きっと、「あー」とかぼやきながら仕事したり。
いい加減でごめんよーとか言いながらも頑張って作った料理だしたり。
子供を寝かしつけしながら寝落ちしたり。
離れた場所から、ずっと応援しているよ！
今年もキンモクセイが香るころ、改めてA子に思いをはせた。
私のがんばりの源でもあるよ、ありがとうA子。これらかもずっとよろしくね。
コメント